新潟県南蒲原郡田上には、二家の田巻姓の豪農がありました。
それぞれ代々七郎兵衛、三郎兵衛を名乗り、地元では七郎兵衛家を原田巻、三郎兵衛家を本田巻と呼んでいました。
本田巻は、下田の豪農・五十嵐氏の末流です。原田巻は、本田巻の二男で、安永3年(1774)に没した七郎兵衛を中興初代としてます。
4代目、5代目の幕末期には、石高2600、面積で1300町歩の大地主に発展しました。
この邸宅は、田巻家の本宅です。隣に離れ座敷の椿寿荘が建っています。
離れ座敷の椿寿荘の正面玄関です。椿寿荘の由来は、椿を長寿の霊木とした中国の故事にならって名づけられたそうです。
日本三大名工のひとり、宮大工・松井角平を招き、全国から銘木を集める贅を凝らし、釘類を一本も使わず約3年半の歳月をかけて建てられました。
広大な座敷です。床の間の床がまちは、石川県能登の輪島塗り。
欄間には、一枚板に菊の透かし彫りの彫刻が施しています。これは、京都本願寺御用彫刻師である前川三四郎の技法を伝える、岩倉知生(理八)の作です。
ツツジの植え込みや、秋には鮮やかなモミジに彩られる、主庭の枯山水です。
庭側から見た座敷です。軒を支える丸桁は11間半(約20メートル)にも渡る吉野杉。
他、樹齢800年以上を誇る会津檜も使われています。
田上町指定文化財
越後蒲原豪農・田巻邸 椿寿荘
〒959‐1502
新潟県南蒲原郡田上町大字田上
電話 0256‐57‐2040